平成２０年６月２１日

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会

核燃料サイクル安全小委員会・再処理ワーキンググループ

委員　　　　　　　　　　様

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三陸の海を放射能から守る岩手の会

　　　　　　　

核燃料サイクル安全小委員会・第37回WG会議に係わる要望書

地元住民の不安を真摯に受け止め慎重なる審議をお願いします

謹啓

　日頃、日本のエネルギー政策についてのご検討に敬意を表します。６月１１日（水）日本原燃（株）は「再処理施設高レベル廃液ガラス固化設備の安定運転条件検討結果報告」を公開しました。これはＷＧや小委員会での論議により第５ステップ中「ガラス固化体の試験製造を再開する前に具体的な運転方法を確認する」とした宿題の回答です。これを見ますと、その場凌ぎの内容であり白金族問題を解決する具体性の乏しさと見通しのなさに驚きを禁じ得ません。このことは、このガラス固化方式は技術上の問題というよりも、固化方式の原理的・根本的な欠陥に由来するように思えます。

　つきましては、審議に当たり以下の事項につきまして、厳重に審査確認し発生廃棄物の処理処分をも含め決して環境を汚染することがないようご配慮お願い申し上げます。たまり続ける高レベル廃液とガラス固化体についてはその想像を絶する危険性に、わたしたち周辺住民は非常に不安な思いで見守っております。各委員におかれましては未来を見据え、周辺住民が安心して生活できるよう真剣にかつ親身にお考えいただき決してスケジュール優先することなく安全を第一に、場合によっては思い切った方向転換を展望にいれた論議をお願いいたします。

　　厳重に確認していただきたい事項

１）「安定した運転状態を定常的に形成する」ための確認試験の内容と合格基準を具体的に明らかにして下さい。原燃が提示した10バッチ、洗浄運転、6バッチ方式で本格運転年800トンせん断に対応できるのでしょうか。危険な廃液を大量に貯蔵することのないようにお願いします。

２）ガラス溶融炉底部に白金族元素が沈析しトラブルの原因になっております。今回使用された廃液の元となる使用済み燃料の燃焼度はどの程度でしょうか。本格操業になると燃焼度は平均で45000ＭＷｄ/ｔ、最大で55000MWD/tの再処理計画です。日常的に現在よりも高い燃焼度の廃液を使用することになります。低燃焼度でうまくいかないのに、高燃焼度のものがうまくいくはずがないと思われますがどうでしょうか。

３）安全第一です。未完の技術ならば完成するまで待たせて下さい、決してスケジュール優先はさせないようにして下さい。貴委員のご専門の知識・知見を最大に発揮され、周辺住民ひいては海の恵みによって生きる全国民の現在及び将来を真剣にお考え頂き、私たちや未来世代が健康で文化的な生活が未来永劫できるように納得のいく審理を尽くされんことをお願いします。

４）海洋や大気、土壌の環境汚染は決して生じないようにお願いします。

５）尚、当地方は地震の活動期に入ったようであり、大地震も視野に入れて論議下さいますようお願いいたします。大地震事故による高レベル廃液の漏出は絶対にないと保証していただかなければなりません。私たちや未来世代の生命がかかっているのです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 以上

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（連絡先）三陸の海を放射能から守る岩手の会

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世話人　永田文夫

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　020-0004　岩手県盛岡市山岸6-36-8

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（電話・fax 019-661-1002）