下田敦子参議院議員からの質問主意書回答に関するコメント
　　質問・回答全文とコメント一覧表はこちら　参考（福島みずほ議員の質問主意書と回答）

回答とコメントの概要
【質問の趣旨】
08年5月に再処理工場直下に活断層があり、場合によりマグニチュード８クラスの大地震の可能性が指摘されたこと。
工場内に大量の高レベル放射性廃液が溜まっていること。これが大地震により環境へ漏れ出す危険性があること、もし漏れると大惨事がおこりかねないこと。
そのようなことが起きないように高レベル廃液の安全管理を厳重に行い、大事故の未然防止をしてほしい。

【質問の大項目】
１　工場直下大地震に係わる安全対策に関して
２　渡辺東洋大教授が2008年5月に「工場直下の活断層の存在と直下
　マグニチュード８地震の可能性」を指摘したことに関して
３　憲法に則り国民が未来永劫安心して暮らすことができることを
　保障するための国の役割・責任に関して

【国の答え】
　再処理工場において、大地震への対策をしっかりと講じさせる姿勢が見られない。ありきたりの安全設備で済ませようとしている。高レベル放射性廃液の危険性を直視しようとせず、外部放出の環境影響評価についてはノーコメントであった。大惨事になる可能性について全く配慮せず、このままの安全対策で進めようとしている。
　渡辺教授の指摘をしっかりと受け止めようとする姿勢が見られない。具体的な質問には答えようとせず、質問をはぐらかしすり替えて答えごまかそうとしている。唯一答えたのは高レベル廃液の保有量で約240立法メートル（１２月１０日現在）とのことだった。
○以下回答がなかぅた質問項目
・保有高レベル廃液がチェルノブイリ事故で放出された放射能の何倍か
・高レベル廃液は、冷却機能が停止した場合何時間で沸騰するのか。
　その場合の緊急冷却をどうするのか。
・高レベル廃液の空間で掃気機能が喪失した場合何時間で放射線分解水素が燃焼範囲の下限に達するのか。その場合の対策はどうするのか。
・緊急電源車は用意してあるのか。
・直下マグニチュード８地震が襲来した場合、同時多発的な事故の可能性があるが、高レベル廃液は安全に管理できるのか。
・国が安全審査をしたときの仮想地震の大きさはいくらか。
・高レベル廃液が外部へ漏れ出た場合の環境影響評価は行っているのか。
・高レベル廃液が外部へ漏れ出た場合の高木仁三郎氏の環境影響評価は正しいのか誤っているのか。
・放射能トリチウムを大量に海洋放出し、海洋でどのように拡散したのか、情報公開をしてほしい。
・万が一の地震の際、安全のため高レベル廃液の保有量を最小に抑えるべきではないか。

【結論】
　国は大地震による高レベル廃液の外部放出について直視しようとしていない。外部放出による環境影響評価については実施しているかどうか不明。また高レベル廃液外部放出に係わる高木仁三郎氏の評価を深刻に受け止めようとしていない。従って、日本原燃へ地震対策を厳重に講じさせようと指導する意志が見受けられない。日本原燃が行っている安全設備はありきたりで大地震に備えてているものとはとても考えられない貧弱なものである。日本原燃が評価した直下地震はマグニチュード6.5までであり、その約180倍のエネルギーを放出する直下マグニチュード8地震が襲来した場合（もしくはそれ以下７レベルでも）電源喪失、パイプ破断による冷却剤喪失などにより約１５時間で高レベル廃液の沸騰、人々の避難という恐ろしい事態が現実になる可能性が高い。国は早急に大地震時の高レベル廃液対策について予算を計上し、具体的に検討し予防策を早急に講じさせるべきである。
　再処理をしている諸外国と違い日本は世界でも有数の地震大国なのである。特別な地震対策が求められる所以である。チェルノブイリ事故がこの国で現実のものとなった場合、それは国家の根幹を揺るがす大惨事となろう。このかけがえのない美しい国でそれだけは避けたい。