2004.8学習会資料

               






滝沢村RMC放射線監視委員会委員 永田文夫


1 ごまかしだった目覚まし時計2個論 
 
 23年前RMC建設時日本アイソトープ協会の水野理事は「RMCで処理する医療用放射性廃棄物は2年置けば目覚まし時計に許されている放射能2個分まで放射能が減るので安全だ」と住民に説明しましたが、そのからくりがわかりました。
 下記がその理由です。
 放射性核種はその危険度により4つの群に分けられている(これ以上の量は放射性同位元素として法規制の対象になる)
 1群   0.1μCi(マイクロキュリー)=   3700Bq
 2群   1 μCi(マイクロキュリー)=  37000Bq
 3群  10 μCi(マイクロキュリー)= 370000Bq
 4群 100 μCi(マイクロキュリー)=3700000Bq
   
 協会水野理事は一番規制のゆるい4群の規制値100μCiを使用してRMCで1年間で処理される放射能は200μCi以下なので目覚まし時計2個以下だと説得に用いました。確かに医療用の19核種を2年間減衰させると2個以下になります。(裏の表を参照)
 しかし危険度の違う核種を一律に一番ゆるい規制値を用い計算しています、これはおかしい、仮に1群の放射性核種を目覚まし時計に使用する場合は0.1μCi以下でなければ許可されないのです。
 危険度の違う核種を配慮して計算するとRMCへ搬入処理された核種は年間目覚まし時計170個程度になります。2個の85倍になります。水野理事は、住民がよく知らないことをいいことに都合良くごまかしたのです。
 
 研究用として搬入される予定核種(データが出されている6核種について計算)を水野理事の言うまま100μCiで割ると48300個になる。他に250種ほど搬入焼却されることをかんがえると5〜6万個になるでしょう。(2年の減衰は考えない、協会でも減衰期間をとることを考えていない。半減期が長いのでほとんど減衰しない。)


2 目覚まし時計200万個にもなる研究用廃棄物の放射能
 
 しかし、核種ごとの危険度の群分けをもとに計算してみるとどうなるでしょうか。
H-3半減期12年(4群) 予定処理量は年に 5.7×10の10乗Bq
  これを目覚まし時計に許される100μCi=3700000Bqで割ると
     15400個
C-14半減期5730年(4群)予定処理量は年に 6.0×10の10乗Bq
  これを目覚まし時計に許される100μCi=3700000Bqで割ると
     16200個
Co-60半減期5.2年(2群)予定処理量は年に 7.8×10の8乗Bq
 これを目覚まし時計に許される1μCi=37000Bqで割ると
  21000個
Sr-90半減期28.8年(1群)予定処理量は年に 1.9×10の8乗Bq
 これを目覚まし時計に許される0.1μCi=3700Bqで割ると
  51000個
Cs-137半減期30年(2群)予定処理量は年に 1.5×10の9乗Bq
 これを目覚まし時計に許される1μCi=37000Bqで割ると
  40500個
Pm-147半減期2.6年(2群)予定処理量は年に 6.2×10の10乗Bq
 これを目覚まし時計に許される1μCi=37000Bqで割ると
1670000 個
これを単純に合計すると1814100個にもなります
その他Ni-63も多量に使用されていますし、まだ2百数十のものは計算外です。少なく見積もっても200万個以上にはなるでしょう。

 現在は年間目覚まし時計に許される放射能を170個焼却処理しているのですが、研究用が搬入されますと、200万個以上の放射能が焼却により環境にばらまかれることになります。なにしろ放射能を焼却してフィルターで除去できないのですから。そのまま出て行ってしまいます。加えて半減期が長いものが多いので環境中でそのまま放射能を出し続けます。土壌を汚染し作物中に濃縮、そして人体に濃縮してきます。
 170個から研究用は200万個、これが少量といえるのでしょうか。までと比べ危険度で11700倍もの放射性廃棄物が持ち込まれるのです。
 操業後、最初の数年間は今まで何十年と全国で保管されてきたものが一気に焼却されますので高濃度の環境汚染が生じることが予想されます。


3 滝沢村が誤った選択をしないように、まだ間に合います

 知れば知るほど放射性廃棄物の焼却は犯罪的行為に思われます。各放射能核種が人体に入るとどのような悪い作用をするのか、胎児、幼児にとってはどうなのか、個人差があるのではないか。放射性粒子が肺に沈着したならどうなるか、危険度が高いα放射線は体内でどうなるのかなど人体実験ができないこともあり科学者にとってもわからないことだらけなのです。しかし、放射線を利用したり、原子力を進めようとする側にとり都合が良い排出基準のもと非人道的な施設が作られようとしています。住民を守る放射能の環境基準はないのです。自分たちで守るより他ないのです。
 このような孫子の了解をも得なければならない重大な施設を村当局だけの判断で進めることは住民をないがしろにするやりかたです。 滝沢村へ疑問要望をぶつけ、村民の納得を得てから進めるように訴えていきましょう。
まだ間に合います、滝沢村当局が重大な過った選択をしないように、みんなで力を合わせ私たちや子孫に良い環境を残すために、知恵を出し合いこの計画をストップさせるよう頑張りましょう。